脳梗塞後遺症の片麻痺を改善させるための リハビリのポイント(足編)

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牧野 真也
・資格:理学療法士、脳梗塞リハビリセラピスト ・居住地:長崎県 ・活動地域:長崎県を中心に日本全国どこへでも ▷執筆者プロフィール詳細

   こんにちは。当サイトにお越しいただきありがとうございます。

   脳卒中のリハビリテーション(理学療法)を専門に行っています、
理学療法士牧野真也(まきのしんや)です。

   毎日歩く練習を頑張っているのに、思うように歩けない。このようなことを経験されてはいませんでしょうか?

   そのような場合、もしかするとリハビリの方法がご自身に合っていない可能性があります。

   今回は、脳卒中後遺症である片麻痺を改善させるためのリハビリのポイントについて、特に足のリハビリについてお話ししたいと思います。

 

目次

1 脳卒中後遺症の片麻痺とは?

2 足(下肢)の役割

 2-1  足の裏の役割−その1 唯一地面に触れる足の裏

 2-2  足の裏の役割−その2  体重を感じる足の裏

 2-3  足の裏の感覚がわからなくなるとどうなる?

3 自分に合ったところからリハビリを始める

4 とても大切な“座る”こと

 4-1 なぜ座る姿勢が大切なの?

 4-2 楽に座るためのポイント

5 自宅で出来る足のリハビリ方法 立ち上がり編 

 5-1 立ち上がる前に大切な2つの準備

 5-2 注意すべき2つのポイント

6  自宅で出来る足のリハビリ方法 歩行編

   6-1 歩行による動き−その1  足を前に出す(振り出し)

 6-2   歩行による動き−その2   足で支える(支持)

7  まとめ

 

 

 

1  脳卒中後遺症の片麻痺とは?   

 脳卒中(脳梗塞や脳出血など)を起こすと、手足が麻痺したり、しびれ

たり、感覚がわからなくなったり、言葉が上手く話せないといった症状が出現します。

片麻痺

   この片側の手足をうまく動かせなくなったり、感覚が感じにくくなる状態片麻痺といいます。

   そして、急性期(1~数週間)を過ぎても、これらの症状が残存しているもの後遺症と呼びます。

   なぜ、脳卒中になると片麻痺が生じるのでしょうか?

   私たちの手足は、左右の大脳半球からの司令によって、動いています。一般的には右脳は左の手足を、左脳は右の手足の動きや感覚を担当しています。

   ですから、右脳が脳梗塞を起こすと左半身に麻痺が出ますし、左脳が脳梗塞を起こすと右半身に麻痺が生じることになります。

 

 

 

2  足(下肢)の役割

   私たちの身体は大きく分けると、手(上肢)体幹足(下肢)に分けられます。それぞれの部位はそれぞれ役割があります。

   例えば、お腹が空いたら、手で食べ物を掴んで(摘んで)口に運んだり、箸を使ったり、ペンを持ったりと、道具を使用するときにも手を使います。あるいはジェスチャーなど、コミュニケーション手段としての役割もあります。

   それを支えるためには、体幹が支えてくれなければなりません。

足の裏

   つまり、体幹がふらふらしたり不安定だと、手や足も身体を支える(バランスを保つ)為に、働かなくてはならず、本来の役割を十分に発揮できなくなります。

   では、足はどのような役割があるのでしょうか?

   そうです。立ったり、歩くことですね。

 次の章では、足がしっかりと機能する為に大切な、“足の裏”の役割について詳しく解説していきますね。

 

 

 

2-1  足の裏の役割−その1  唯一地面に触れる足の裏

   座っている時と、立ったり、歩く時の違いは何だと思いますか?

   そもそも姿勢が違いますね?

   バランスはどうでしょうか?

   勿論、立ったり歩いている時の方が、不安定になりますよね?

   では、どうして不安定になるのでしょうか?

 

 例えば、椅子に座っている時を考えてみましょう。

座っている時は、座面にはおしりや太ももの裏が触れて、地面には足の裏がつきますね?

   それが、立つとどうなるでしょうか?

 おしりと太ももの裏は離れて、地面に接している足の裏だけになります。

   このように、身体が何かに触れている面積は、立つと小さくなり、唯一足の裏だけが地面に触れていることになります。

   つまり、足の裏だけで身体の体重を支えることになる為、バランスが不安定になるんですね。

   また、私たちは畳やフローリング、カーペット、もしくはアスファ

ルト、さらには氷の上でも歩くことが出来ますよね?

氷の上

   なぜなら、私たちは足の裏から地面の性状(硬さ、凹凸、傾き、摩擦など)を感じ取って、脳に伝えているんです。

   勿論、歩く時は目を開けていますから、目からある程度地面の性状は予想できます。

   でも、常に足元を見ている訳ではありませんよね?

   つまり、私たちは、足の裏からの感覚を頼りにすることで、地面が凸凹していたとしても、転ばずに歩くことができるんですね。

 

 

 

2-2  足の裏の役割−その2  体重を感じる足の裏

 また、立ったり、歩く時は、足の裏にかかる体重の移動を感じながら、身体のバランスをとっています。

 どういうことかというと、例えば立ち上がる時は、足の裏にかかる体重は踵→前足(つま先)→踵へと移動していきます(図の矢印↑)。

 

立ち上がり

 

 

 また、歩く時も、支える方の足は踵→足の裏全体→前足(つま先)へと重心が移動します(図の矢印↑)。

 

歩行

 

 

 このように、足の裏の感覚は私たちが、安全に、効率良く動くために、大事な働きをしています。

 

 

 

2-3 足の裏の感覚がわからなくなるとどうなる?

 立ったり、歩くときは足の裏で地面の性状を感じて、脳に伝えていることがわかりましたね。

では、もし、脳梗塞などにより足の裏の感覚がわからなくなったとしたら、どのような不都合があるでしょうか?

座位

 例えば、椅子から立ち上がるところを考えてみましょう。

 もし、片方の足の裏の感覚がわからないとします。

 その状態で立ち上がるとなると、どうでしょうか?

 普段は両足で支えながら立ち上がりますが、片方の足の裏の感覚がわからないと、片足で立っているように感じないでしょうか? 

 または麻痺により、足首が硬くなり、つま先しか地面についていないとします。

 この状態で立ち上がる時も、同じようにほとんど片足で立つことになってしまいます。

 立てたとしても、身体全体にかなりの力が入ってしまうのではないでしょうか?

 つまり、足の裏の感覚がわからないと、支えることが難しくなります。

つまずき

 さらに、この状態で歩くとなれば、どうでしょうか?

 支えるのが難しいことは想像できるのではないかと思います。

 このように、足の裏の感覚がわからなくなることで、色々な不都合が出てくることがわかりました。

 

 

 

3  自分に合ったところからリハビリを始める

 では、いざリハビリをしようと思っても、何から始めたらいいのでしょうか?

 ここで大事になってくるのが、どの姿勢でリハビリに取り組むか?ということです。

 勿論、歩く練習の中で行うことはいいのですが、もし難しい場合は、まずは立ち上がりや、座っている状態(座位)で確認してみましょう。

 

難易度

 

 

 意外に思われるかもしれませんが、歩く時の姿勢は実は、座っているときから同じような姿勢になっていることが多いのです。

 例えば、歩く時の姿勢が、左の肩が下がっている方は、座っている時も、左の肩が下がっていることが多いのです。

 歩くことは、ただでさえバランスが不安定な状態にも関わらず、この姿勢の修正を、歩きながら行うことは、とても難しくなります。

 ですから、まずは、バランスが安定している、座る姿勢から始めることをお勧めしています

 次の章では、なぜ座る姿勢が大切なのかについてお話していきます。

 

 

 

4 とても大切な“座る”こと 

4-1 なぜ座る姿勢が大切なのか?

 早速ですが、一度立ち上がってみましょう(手すりなど支えを使用しても構いません。くれぐれも転ばないようにしてください)。

 いかがでしたでしょうか?

 麻痺してない側の足で踏ん張って立ったり、手すりを引っ張って立ったりしなかったでしょうか?

 ※もし、そうであったとしても心配しないでくださいね。

 麻痺してない側の足で踏ん張ったり、手すりを引っ張って立ったりされた方は、確認していただき地ことがあります。

 それは、椅子に座っている状態で麻痺してない側の足の裏と麻痺側の足の裏の感覚を比べてみましょう。

 足の裏の感覚は両方とも同じ感じがするでしょうか?

 恐らく、左右差があるのではないでしょうか?

 麻痺側の足の裏の方が鈍くて頼りない方や逆に麻痺してない側の足の裏で踏ん張っている方もおられるかもしれません。

 実は、この足の裏の左右差が立ち上がりにくさの原因の一つなんですね。

座位 左重心

 どういうことかと言うと、左右差があられる方は、お身体が左右対称ではない可能性が高いです。

 かなり極端かもしれませんが、もし右写真のように座っているとしたら、うまく立ち上がることができるでしょうか?

 恐らく、簡単ではないことはお分かりになるかと思います。

 ですから、まずは左右対称に座れるようになること左右の足の裏の感覚を出来るだけ同じように感じることができれば、今よりもずっと楽に立ち上がれるようになります。

 では、次の章ではその具体的な方法を解説したいと思います。

 

 

 

4-2 楽に座るためのポイント

 それでは、楽に座るためのポイントをお伝えしますね。

 前・横・上の3方向から自分の身体がどうなっているか、また体重のかかり方などを確認してみましょう。

 

楽に座るためのポイント

 

 左右対称に座ることができましたでしょうか?

 その場合、先ほどよりも楽に座れているのではないでしょうか?

 これで準備完了です。

 次の章では、いよいよ足のリハビリついて、立ち上がりと歩行について解説していきます。

 

5  自宅で出来る足のリハビリ方法 立ち上がり編

 立ち上がる時は体のどこを使って、立ち上がりますか?手でしょうか?体幹でしょうか?

 そうです、ですね。

 このことを頭に置きながら、行っていきましょう。

 

 

 

5-1 立ち上がる前に大切な2つの準備

 まず、立ち上がる前に、とても大切な準備についてお伝えします。

 ポイントは2つあります。私の経験からも、まずこの2つの準備が不十分だと、うまく立てない可能性が高いです。

 ですから、まずは準備を確実に行いましょう。

 

立つ前の準備

 

 

 

5-2 注意すべき2つのポイント

 2つの準備が完了したら、いよいよ立ち上がりです。

 立ち上がりは、大きく分けると次の2つの動きから成り立ちます。

  •   ①お辞儀をして体重を前に移していく屈曲相
  •   ②体を起こしていく伸展相

 

立ち上がり

 

 では、ここで立ち上がりに大切なポイントを、2つお伝えします。

 

立ち上がりポイント

 

 

 

6  自宅で出来る足のリハビリ方法 歩行編

 歩行は大きく分けると、次の2つの動きからか成り立ちます。

 ①足を前に出す、振り出し(遊脚相)

 ②足で身体を支える、支持(立脚相)

 

 

 

6-1 歩行による動き−その1 足を前に出す(振り出し)

 ここでは、麻痺してない側の足について解説していきます。

 どうして麻痺側じゃないの?と思われるかもしれませんが、実は、麻痺側の足が床から離れないなど、うまく振り出せない原因は麻痺してない側にあることがよくあります。

 では、確認していきましょう。

 

振り出しポイント

 

 このように、麻痺していない側の足が、麻痺側の足を振り出す準備を整えていないと、そもそも振り出すことが難しくなります。

 ですから、まずは麻痺していない側の準備をしっかりと行いましょう。

 

 

 

6-2  歩行による動き−その2  足で支える(支持)

 先ほどの麻痺していない側で支える練習を麻痺側でもやってみましょう。

 ここでは、足の裏の感覚に意識を向けることについて解説します。

 

支持ポイント

 

 

 

7  まとめ

 今回は足のリハビリとして、立ち上がりや歩行についての実践方法を解説してきました。

ここまで読んでいただくことで、足の裏がどれほど重要な部位であるか、理解できたのではないでしょうか?

 

 ところで、皆さん、お気づきでしょうか??

 足のリハビリと言うと、直接足をマッサージしたり、動かしたりするイメージだったのではないでしょうか?

 そうなんです。実は、今回の内容は、足には直接手を触れていません。

 実践された方は、足の裏を感じるだけで、立ち上がりや歩行が楽になることを体験できたのではないでしょうか?

 まだ実践されていない方は、是非とも実践されてみてください。

 

 この記事が、少しでも皆様のお役に立つことが出来れば幸いです。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました。

 

行動範囲拡大

 

 

<参考文献>

(1)医療情報科学研究所:病気がみえるvol.7 脳・神経 第1版:P60-159,MEDIC MEDIA,2011

(2)奈良 勲 監修:標準理学療法学 専門分野 神経理学療法学:P27-28,医学書院,2013

(3)森岡 周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門 改訂第2版,協同医書出版社,2016

(4)宮本省三・沖田一彦 編集:認知運動療法入門,協同医書出版社,2002

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