左片麻痺と右片麻痺の違い

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濱崎 烈士
・資格:作業療法士、脳梗塞リハビリセラピスト ・居住地:広島県 ・活動地域:中国地方を中心にどこへでも ▷執筆者プロフィール詳細

私は、『脳梗塞後の回復の道を共に歩み、心から笑える日々を取り戻す専門家』

 

脳梗塞リハビリセラピストで作業療法士の濱崎烈士(はまさきかつし)です。

 

 

ここでは、左片麻痺と右片麻痺の違いについてお伝えします。

 

片麻痺には左片麻痺と右片麻痺があります。

皆さんはどのようなイメージを持ちますか?左右どちらかの半身の手足が動かなくなる?

など様々だと思います。

実は左片麻痺と右片麻痺では症状に様々な違う点があることはご存知でしょうか?

 

今回はその左片麻痺と右片麻痺についてどのような違いがあるのか、また共通点はどんな所なのかを解説していきたいと思います。

 

目次

 

①左片麻痺と右片麻痺の違い

②左片麻痺と右片麻痺の原因

③左片麻痺・右片麻痺チェックシート

④治療方法

⑤かかる病院

⑥左片麻痺に特徴的な症状

⑦右片麻痺に特徴的な症状

⑧左片麻痺の生活の中での注意点

⑨右片麻痺の生活の中での注意点

⑩左片麻痺・右片麻痺再発防止方法

⑪まとめ

 

 

 

 

左片麻痺と右片麻痺の違い

 

 

 

○左片麻痺とは

左片麻痺とは、左半身に運動麻痺が出現する事です。

症状は、左手足の運動麻痺、感覚障害がでる事があります。                       

左片麻痺になると左の手足のコントロールだけでなく、

注意力が散漫になってしまったり、一つの物事に注意が

持続しなかったり、他の事を同時に処理できなくなったり

といった症状が出る事があります。

 

○右片麻痺とは

右片麻痺とは、右半身に運動麻痺が出現する事です。

症状は、右手足の運動麻痺や感覚障害です。

他にも言葉を話したりする事や理解する事に障害がでる事があります。

また物や自分の身体を上手く使いこなせなかったりという

症状がでる事があります。

 

 

 

②左片麻痺・右片麻痺の原因

 

 

 ○左片麻痺の原因

左片麻痺の原因は、脳梗塞、脳卒中、硬膜下血腫、頭部外傷などで

右側の脳に損傷を受けると出現します。

右脳は左の手足をコントロールしており、脳卒中を起こした右脳とは

反対の左の手足に片麻痺が出現します。

 

 ○右片麻痺の原因

 右片麻痺の原因は脳梗塞、脳卒中、硬膜下血腫、頭部外傷などで

左側の脳に損傷を受けると出現します。

 左脳は右の手足をコントロールしており脳卒中を起こした左脳とは

反対の右の手足に片麻痺が出現します。

 

 

 

③左片麻痺・右片麻痺チェックシート

 

下記のチェックシートで左片麻痺か右片麻痺かチェックをしてみましょう

 

 

チェック

左片麻痺

右片麻痺

 

左の手足が動かしにくい

右の手足が動かしにくい

 

左の手足の感覚がわかりにくい

右の手足の感覚がわりにくい

 

注意が散漫

言葉が話にくい

 

集中が続かない

言葉が理解にしくい

 

左側に気づきにくい

文字が理解しにくい

 

麻痺の手足をよく忘れて動き始める

道具が上手く操作できない

 

 

 

 

④左片麻痺と右片麻痺の治療方法

 

 ○左片麻痺のリハビリ

 

 左片麻痺のリハビリは、右脳の機能が低下している事を考慮しながらリハビリを

行う必要があります。右脳は周囲に気を配ったり注意力に長けているといわれています。

 

注意が散漫になるという特徴をお持ちの方は音楽が鳴っていたり、テレビがついていたり人が多くいる場所などでリハビリをするのではなく、静かな集中しやすい状況でリハビリを行うとリハビリに集中しやすくなります。また左片麻痺の方の特徴として「左側に気づきにくい」という特徴もありますので、右側からの刺激は特に減らすように工夫をした方が良いです。

 

 ○右片麻痺のリハビリ

 右片麻痺のリハビリは、左脳の機能が低下している事を考慮しながらリハビリを

行う必要があります。左脳の機能「言葉を話す、理解する」「道具を扱う」機能に

長けています。

 

 言葉を話たり、理解する事が苦手になる特徴があるので、リハビリをする時に「手を頭より高く上げて腕を伸ばしましょう」という文章を見てリハビリをするのではなく、実際に手をあげている絵などをみた方が理解しやすかったりします。それを真似しながら体を

動かしてリハビリをするという事もオススメです。

 

 

 

⑤左片麻痺、右片麻痺の場合かかる病院

 

 

 ○脳神経外科

 左片麻痺、右片麻痺の原因は脳にあるので脳神経外科がある病院や治療院を受診された

方が良いです。脳神経外科の医師は脳の専門家なので、脳卒中の症候などに気づき易く発見や適切な治療展開がスムーズになります。

 

 ○地域のかかりつけ

 脳神経外科を受診して、その後脳の状態が落ち着いたりすると、近隣の元々のかかりつけの病院や医院を紹介される事があるかと思います。それはそれぞれの医師の判断で地域のかかりつけの病院や医院でもフォローアップが可能という判断なので医師の判断に従って下さい。

 

 

 

⑥左片麻痺に特徴的な症状

                 

 

 

 

 

左片麻痺の原因は右半球(右脳)にあります。

先述の通り、左片麻痺の症状は右半球(右脳)が担っている機能が上手く機能しないという事になります。

特に左片麻痺の特徴として、注意障害という注意力に関わる障害が目立ちます。

 

 

 

○注意障害とは?

私たちは普段何かに注意の力を使いながら生活しています。

例えば、趣味をしている間は他の事を考えず没頭できたり、

車の運転の場面では、スピードだけに気を取られず、信号機や

歩行者など様々なものへ注意を配れたりします。普段あまり

意識はしませんが、生活を円滑にしてくれている機能です。

左片麻痺の場合注意機能が低下しやすいので、

同じ事をしても他人の何倍も集中しないといけなかったりして疲れやすかったり、少しの物音や動くものに注意がそれやすかったりとする症状が出やすいです。

 

 

○見えているのに気付かない!半側空間無視とは

また注意に関連して、半側空間無視という症状があります。自分の左側にあるものやお皿の左半分に気づき難い症状の事です。

例えば、真っ直ぐ歩いていて左側に電柱があっても気づかずぶつかってしまったり、お皿に盛られた左側のトマトに気づかなかったりします。

 

 

○麻痺しているのに「悪い所はない」と言う、病態失認とは

その他にも病態失認という、片麻痺の存在に対して「悪い所はないよ。」と発言するような症状がでる事があります。これも自分の身体の左側の状態に気づきにくい所や全身や他の人と自分を比べる事が難しくなる症状です。

 

このように左側の物や左手足の麻痺に気付かなかったりするので、体の左右のバランスも崩れやすくなります。

 

 

 

⑦右片麻痺に特徴的な症状

 

 

右片麻痺の原因は左半球(左脳)にあります。

左半球は優位半球とも呼ばれ、言葉をつかさどる

半球として考えられています。

 

○言葉が理解できない!話せない!失語とは?

右片麻痺の症状として現れるのは言語障害です。

言葉を理解できなかったり、理解できても言葉に

できなかったりという症状の事でそれを失語と言います。

 

また失語と診断されていない場合でも話しにくさや聞き取り難さがある事もあります。

 

 

 

○道具や身体が上手く動かせない!失行とは

失行と呼ばれる道具を上手く操作できなかったり、自分の身体を上手く動かせなかったりという症状もあります。身体を上手く動かせないというのは麻痺がないのにも関わらず、ぎこちなく動かしたり、正確で精細に指を動かせなくなる症状です。

身体を上手く動かす事ができない為ジェスチャーをしたりする事も難しくなります。

 

 

 

⑧左片麻痺の生活の中での注意点

 

 

注意が逸れ易く、適切なタイミングで適切な場所に注意を向ける事ができない等の特徴がある左片麻痺の方の生活の中での注意点を、例として食事の場面で考えてみます。

 

○食事場面で考える左片麻痺の注意点:半側空間無視編

 

 

 

食事の場面で、半側空間無視が認められている場合では、食器の中の左半分を食べていなかったり、自分の左側に並べられた食器に気づけなかったりという事が観察される事があります。

 

その場合には食べ始める前に「今日はご飯があって、その横にお味噌汁があって、その奥には焼き魚があって・・・」など言葉で説明するのも良いです。

 

また実際に並んでいる食器を触ってもらったり、もしランチョンマットなどを敷いていたらその縁全体を指でなぞってもらったりと言葉で説明するだけでなく実際に手で触れて感触も使って認識を促す事で左側に気づきやすくなる事があります。言葉だけで説明を受けても中々「気づけていない事に気づけていない」状態だと知っておくと良いと思います。

 

○生活場面で考える左片麻痺の注意点:身体のバランス編

左片麻痺では自分の左側の身体がどうなっているかにも気づき難くなる事が多いです。

そうなると左右の身体のアンバランスが強調されてしまい歩き難くなったり、手があがらなくなる可能性があります。

ですのでその対策として食事中はなるべく麻痺していたとしてもテーブルの上に左手を置いたりする事で姿勢の崩れも防いでいく事もできます。

 

他にも手洗いでは普段は良い方の手しか使っていないので、麻痺していない良い方の手しか洗わないという事もあります。しかし麻痺している手も積極的に洗う事で左側の身体の状態を知る力を高めていく事ができます。

また手洗いは自分の右手と左手を身体の中心で合わせる姿勢になるので知らず知らずずれている自分の身体の中心の線も整います。

 

そうなれば先述した歩き難くなったり、手が上がらないという症状の予防にもなってきます。

 

 

 

 

 

 

 

⑨右片麻痺の生活の中での注意点 

 

 

 

 

 

○失語

 

失語に対しての生活の中での注意点としては、会話をする時には分かりやすく端的に伝えるという工夫が良いと思います。

長い文章で話をされると一つ一つの言葉を処理する事が難しくなる為、短い単語で伝えると理解してもらえ易くなります。

 

 例えば「今日の夜ご飯はお肉料理と魚料理どっちにしようか迷ってるんだけど、どちらが良いと思う?」と聞いてしまうとその文章を理解する事にも時間がかかり処理できなかったり、例え処理できても自分の気持ちを言葉にするにも難しくなるので言葉にできなくなります。

 

「夜ご飯はお肉が良い?」と聞いてから反応を待って「魚料理がいい?」と首を縦横に振るだけで答えられるように聞いてみたりすると答えやすくなります。また言葉だけでなくて指さしでこたえられるようにチラシや画像を見せながら「どっちがいい?こっち?」と聞くのも言葉でなく目で処理できるので答えやすくなります。

 

他にも「トイレに行きますか?」が伝わらない重度の方では、「立つ」「トイレ」など敬語なども省いて単語のみ伝える事で上手くいく事があります。トイレが伝わらない時には「便所・小便、大便」など言い回しを変えたりトイレの方向を指さしたりしても良いです。

 

このように言葉だけでなく目による情報を活用して写真や絵を使ってコミュニケーションをとると良いと思います。目による情報の注意点としては、文字ではなく絵や写真がおすすめです。失語の症状では目でみた文字を処理する事も困難な場合があるからです。

 

失行

失行の場合は、道具や身体を上手く動かせないという症状なので、生活の中で困る事が多いです。失行を持つ患者さんは失行が無い患者さんと比べて食事、入浴、トイレ、整容、更衣、などで難しさが出ると言われています。⁶⁾

例えば歯磨きの場面で失行がある方への生活の中での注意点を考えてみると、歯ブラシの持ち方を間違えていたら言葉で「間違えてるよ」と伝えて修正を促すのではなく、手伝いながら持ち直すという事を繰り返すと正しい持ち方で使えるようになる事があります。これはエラーレスラーニングといって、生活での誤りを最小限になるよう介助しながら実施する方法です。

またストラテジートレーニングといって、これから行う事の工程を言葉に出して貰ったり、絵で順番を提示しておくという手段もあります。他にも自然な状況であまり失敗を意識させずに使って貰った方が正しく使える事があります。それでもし間違えていたら先述のように手伝いながら正しい使い方を反復していくと生活でのストレスは軽減していくと思います。

 

 

 

 

 

⑩左片麻痺、右片麻痺の再発防止方法

 

 

 左片麻痺、右片麻痺の再発防止方法には左片麻痺と右片麻痺の違いはありません。

どちらも脳出血や脳梗塞の後遺症なので、元々の原因である脳出血や脳梗塞を予防する事が必要になります。

 

 ○脳梗塞予防

 脳梗塞の再発予防には、高血圧、糖尿病、喫煙、メタボリックシンドローム(肥満)の管理が求められます。この中でも特に高血圧の管理が強く勧められています。血圧は140/90mmHg未満にする事が目安になります。

 

○脳出血予防

 脳出血の再発予防には、高血圧、飲酒・喫煙の管理が求められます。この中でも脳梗塞同様高血圧の管理が強く勧められています。脳出血は血圧コントロール不良例で再発が多いと言われており、再発防止の為には血圧140/90mmHg未満、可能であれば130/80mmHg未満にコントロールする事も勧められています。

 

 脳梗塞、脳出血共に血圧が一つのキーワードとなります。その為にも薬を自己判断でやめない事、栄養のバランスがとれた食事をする事、血圧を同じ条件で計測しておく事が血圧をコントロールする事には重要になってきます。

 

 

⑪まとめ

 

 

 ここまで左片麻痺、右片麻痺の共通点や違いについて解説してきました。

左片麻痺と右片麻痺は運動麻痺や感覚障害など共通する症状もありますが、これだけ大きな違いがあるので、当然リハビリも左片麻痺の方で配慮する部分や右片麻痺の方に配慮する点があり、リハビリの内容も違います。

 

しかしどうでしょうか?リハビリの場面を思い出すと周りの方と同じリハビリを受けたり、しているという事はないでしょうか?

 

例えば左片麻痺の方にも右片麻痺の方もベッドでマッサージをして、筋トレをして、立ち上がり訓練をして、歩いて・・・同じ訓練内容をしていませんか?

もちろん共通点もあるので似通る部分もありますが、声掛け一つや環境など様々個別に変える必要があります。

 

目に見える症状の原因が違うので、リハビリの内容も違うのは当然と言えば当然ですが、一度リハビリのメニューを見直しても良いかもしれません。

 

 先述の様な特徴を理解しながら皆さんそれぞれに合ったリハビリが見つかり今より一歩前に進める事を心からお祈りしております。

 

 

 

 

文献

1)宮本省三:片麻痺:P1‐P74,協同医書出版社,2014

2)清水一ほか:脳卒中のリハビリテーション生活機能に基づくアプローチ原著第3版:P61,三輪書店,2015

3)平山和美ほか:CLINICALNEROSCIENCE VOL35No1:P14‐16,中外医学社,2017

4)森岡周:脳を学ぶ:P35,協同医書出版社,2014

6)阿部浩明ほか:高次脳機能障害に対する理学療法:P139,文光堂,2016

7)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会編:脳卒中治療ガイドライン2015:

  :P88、P140、P153,協和企画,2015

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濱崎 烈士
・資格:作業療法士、脳梗塞リハビリセラピスト ・居住地:広島県 ・活動地域:中国地方を中心にどこへでも ▷執筆者プロフィール詳細

もう無駄な努力なんてしなくていい!「脳梗塞から半年経ってても楽に動けた!」という感想続出のヒミツを教えます『自宅でできる動きのコツ』リハビリ講座

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